はじめに
私は元アコムに勤務していた社員です。在籍していたのは、2000年2月から、2004年10月までの約4年間です。
その時に経験したさまざまなことを紹介していきます。
お金を貸して利息収入で会社を大きくしていくのが消費者金融です。
しかし、残念な事に回収率は100%ではありません。
ここが痛いところですね。最初は皆さん、ニコニコしながら審査を受けに来るのです。
当然、少しでも多くの優良客にお金を貸したいので、なるべく審査に通って欲しいのが本音なのですが、誰がどうみても融資出来ない人はいます。
これだけは致し方ありません。貸せる人には貸せる。貸せない人には貸せない。
ここははっきりさせておかないと、会社の存続にかかわると書いたら大げさに聞こえるかも知れませんが、実際の所はそういうレベルです。
審査をクリアした人でもいきなり返済が滞る人もいますからね。
これだけは読めない部分があります。
別記事で詳しく書くのでここでは軽く触れる程度に留めておきますが、対面与信をすると大抵はどんなお客さんか見抜く事は出来ます。
ここは場数を踏めばわかります。
この時、融資到達ラインに達していても危険と判断すれば当然融資は行いません。
結構、机上の計算と、信用情報等を鑑みても融資可能なラインの人でも、融資を行わないケースは多かったです。
結局のところ、最終的に厳しくなるのはアコム。
そして、返せなくなったお客さんも重たい荷物を背負った状態になってしまいます。
正直この状態は双方に取ってまったくメリットはありません。貸したら最後です。
今回は裁判に行くまでのお話ですが、先ずカウンターで対面与信をして、裁判の事を考える事はありません。
危なそうなお客さんには融資をしない。
これさえ守っていれば何とかなりそうなものですが、人間とは欲深いものです。
アコムからお金を借りても他社からでも借りてもいずれにせよ、そのお金は借金に変わりはありません。
しかし、ここからが借金の怖い所で、お金を自分自身の物という、とんでもない勘違いをしてしまいます。
ここの時点で既にアクセルとブレーキを間違えていますね。
裁判にいくまでのプロセス
それでは、少し遅くなってしまいましたが、裁判へのプロセスを書いていきたいと思います。
まず対象者。当然、延滞している人です。
しっかり返済している人には全く縁のない世界です。
まず、延滞初日。ここは様子を見ます。
電話で催促する同業他社もあるでしょうね。
私はとにかく1日目は動きません。そして2日目ここから動きだします。
延滞者で自分の担当のお客さんが出ると結局尻拭いをするのは担当の社員がする事が慣例になっています。
2日目と3日目は携帯電話に連絡します。
ここで反応があれば、約束の期日を守ればまあ1回位延滞は見逃そうとなります。
つまり、信用情報機関に延滞情報が載らないということです。
ここで、載ってしまうのと載らないのでは大違いです。
5日目今度は手紙を書きます。
申告した住所宛に。勿論、茶封筒です。
アコムのアの字も載っていません。ここで支払期日が過ぎています。
早急にご連絡くださいという趣旨の内容の手紙を出します。ここから先が債務者の心理を揺さぶる作戦です。
まず、手紙に書く時の色は赤い文字を多用してプレッシャーをかけます。そして10日目まで待ちます。
10日待って、反応が一切ない場合は、家庭訪問となります。
普通に考えて昼間は働いていると考えるのが妥当です。
その為、昼は支店業務や裁判などに奔走し、夕方疲れがピークの時に家庭訪問をします。自分の家と同じ方向だと良いのですが、千葉県内とかだと、大変です。
結構、家庭訪問で、債務者が家にいる事が多かったです。
アコムは闇金ではありませんから、当然暴言など言いません。
どうして返せなくなってしまったのですか?シンプルな質問かも知れませんがここから入っていきます。
給料が今月から減りましてなど、皆さん理由は様々、このままだと来月も同じ事になる可能性が極めて高いので、返済計画書は必ずカバンの中に入っています。
ここで来月からキチンと返済しますと署名・捺印をしてもらい、1通が顧客。
もう1通がアコム用に複写式で書いて、長居はせずに挨拶をして家路につきます。
家にいない場合が厄介です。
電気メーターが回っているか?など生活感があるかどうかも調べます。
ポストに新聞が溜まっている状態の人は蛻の殻の可能性が高いです。
ここで債務者と話し合う事が出来ないといよいよ裁判の準備に入ります。
裁判一つ起こすのにも、印紙とかが必要ですからね。
東京地裁の地下1階に印紙を売っているところがあります。
意外と簡単な裁判
裁判の基本的な訴状作りは専門のエキスパートの社員が作成し後は印紙を当日の朝貼ればいい状態になっています。
裁判に進むプロセスとしては、
滞納→携帯反応なし→手紙反応なし→家庭訪問不在
ここまで来ると次はアコムが裁判を起こす事になります。
結構裁判の流れとしては意外にシンプルに感じた方が多いと思います。
どんな状況であれ借りたお金を債務整理しない限り返済の義務が丸々ありますから、しっかりとした対応をしないと給料差し押さえされてしまう可能性があります。
あまり消費者金融を侮ると痛烈なしっぺ返しを受けます。給料差し押さえを食らったら大変です。
何せ、会社に借金はばれる、延滞もばれます。
そうなる前に借りたお金に関してはキチンと対応する事です。
【元アコム社員が語るシリーズ】
・【Series】アコム元社員が語る!『初めての東京地裁緊張の初回裁判』
・【Series】アコム元社員が語る!『弁護士を打ち負かした瞬間』
・【Series】アコム元社員が語る!『全額一括返済の判決を取るのは簡単』
・【Series】アコム元社員が語る!『まさかの弁護士出廷に防戦一方』
・【Series】アコム元社員が語る!『裁判官の和解勧告』
・【Series】アコム元社員が語る!『金貸しの裁判に債務者が出廷する事は稀』