【Series】アコム元社員が語る！『弁護士を打ち負かした瞬間』

社内の様子

私は元アコムに勤務していた社員です。在籍していたのは、2000年2月から、2004年10月までの約4年間です。
私が勤務していたアコムの新宿支店は何かと問題の多い顧客が多かったのは、土地柄致し方ないと言ってはそれまでだが、私は男性社員なので良いが女子社員は戦々恐々だった。
エレベーターがフロアの中から何階に下から上がってきたかが分かる。
支店の階で止まると次はどんな問題児がと半ば冗談半分に社員でお客さんがいない間に話すのが定番だった。
チームとしては非常にアコムの支店の中でも、結束が強かった。

新宿店は裁判が多く、弁護士の力量を見極めなければならない

そんな問題児をたくさん抱えるアコム新宿店は、他の支店に比べ、裁判件数が多い。
弁護士が相手の時は先ずは様子を見る。相手の力量を調べないと、おおやけどをするのは自分自身になるので絶対にそうならないように、先ずは力量を調べる。
わざと、そこで決着をつけるつもりがないのに、「裁判長・判決をお願いします」とカマをかけます。
そうすると、エキスパートは必ずすぐさま手を挙げます。
ここで手を挙げるのは金銭問題のエキスパートの可能性が高く、ここは社内で持ち帰り検討致しますとお茶を濁します。
これ以上は弁護士が追ってこないのを知っているので、私としては強敵弁護士相手の場合はこのパターンに持ち込み、支店に帰り計算機を叩く。
裁判所に提示した金額では納得できないからこそ、弁護士が登場しているわけですから、当然その金額では折り合いません。
折り合いをつけるには、基本的に一歩引いて話し合いをしないと前に進みません。

大体、消費者金融が起こした裁判に出てくる弁護士は金融専門が圧倒的に多い。
そうなると全て白旗かと思われがちですが、あくまで民事専門の弁護士には到底敵わないので、どれ位の力量か得体のしれない弁護士の際はわざと先ほどの様に仕掛ける事によって、民事裁判専門の弁護士なら直ぐに手を挙げるので、この人は強敵と直ぐにわかる。プロ中のプロ。
いくら私が民事訴訟法の本を毎日読んでいても、相手は六法全書を完全に頭の中に叩き込んでいる。
六法全書と民事訴訟法では100対1です。所詮勝ち目はない。

諦める事は非常に簡単ではあります。
しかし、専門分野の弁護士には百歩譲って勝てないとしても、それ以外の弁護士なら勝ち目があるのではないか？
先ずはそこからだとある時ふと思ったのです。
思い付きって皆さんもよくあると思います。
例えばよく、歌手の人が道を歩いていた時に新曲のイメージが急に浮かんだ時に「カフェなどに入って直ぐにメモを取る話は皆さんも聞いた事があると思います。
私の場合は歌手ではないですから、それを覚えていていつ実行するかだけだったのです。そしてその時が遂にきました。

今こそ勝利を！

春の暖かい陽気が丁度良い4月中旬。
給与差し押さえの裁判でした。対象者は年収350万円。
25歳・会社員。アコムへの債務70万円。
当時はグレーゾーン金利の29.2%を思いっきり消費者金融は取っていましたからね。
結構借金が重なって来ると、元金減らしが大変で最終的には自転車操業になりお金が返済できなくなる人が多いです。

そして今回のケースの様に消費者金融は痺れを切らして、給与差し押さえと言う厳しい措置を取ります。
給料の4分1まで差し押さえる事が出来ます。簡単な例を挙げると、30万円の人なら7万5千円です。
当然裁判所が認めれば、会社に借金をしていた事がばれた上に延滞していた事実まで筒抜けです。

注目の裁判は弁護士が出てきました。ここまでは想定内です。当然、給与差し押さえは誰だって受けたくはありません。
その為、弁護士に依頼して代理で何とか差し押さえにならないように依頼します。受けた弁護士はそれを防ぎにかかります。それでは、どういった裁判だったのか？民事の裁判の場合金銭問題は集団審理で順番に行われます。
その日は最後でした。裁判所もその当たりは裁判の内容等を考慮して順番を組むようにしています。

私は、一瞬で相手の弁護士専門分野でない事を見抜きました。
司法試験に合格し、研修を受け初めて裁判に挑むような感じの若い弁護士でした。
私は冒頭強く、給与差し押さえを訴えました。相手の弁護士は、反応が鈍い。
返答に明らかに困っている。
ここは一気に責め立てるチャンスと感じ、弁護士の発言を待って強気に行こうと決めていました。
弁護士は小さい声で、「給与差し押さえだけは何とかなりませんか？」強敵の弁護士なら「余りにも厳しい。武士の情けはないのか？」
これくらいの反応をするのは日常茶飯事です。
そこで私は、「それでは給与差し押さえはこちらとしても。本望ではありませんので毎月、これから5万円ずつ返済して頂けますか？」と攻めの一手に出ました。
するとその弁護士は「2万5千円の減額ですか？」と返答。
「給与差し押さえだと7万5千円まで、抑える事が出来ますが、毎月5万円で手を打つと言うことです。14回払いですから、これ以上いい条件はありません」このお話で良ければ、午後にでも支払い計画書にサインしてもらえれば、給与差し押さえを取り下げます。と続けると「わかりました。給与差し押さえがないのならその条件で構いません」完全に弁護士が後手に回ってしまった典型的なケースです。
この時思ったのはこの弁護士は誰でも崩せる問題は、もう少しランクが上の弁護士が相手の時に畳みかける事が重要と認識しました。
相手に恵まれたとはいえ、弁護士を打ち負かした瞬間でした。

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