生活保護を受けている人はお金には困っています。
受給している保護費だけでは足りないとき、気軽にお金を借りられるカードローンがあれば便利でしょう。
しかし、そもそも生活保護をもらいつつカードローンを利用することはできるのでしょうか?
そこで今回は、生活保護の方がカードローンを利用できるかについて紹介します。
■生活保護を受けている人はカードローンを利用できるか
日本国憲法の第25条では、国民の最低限の暮らしが保障されています。
憲法の理念に基づいて実施されているセーフティーネットが、「生活保護」です。
●生活保護法の下ではカードローン利用はできない
いろいろなサイトを見ていますと「生活保護を受けていてもカードローンは利用できる」という書き込みがあります。
確かに、生活保護受給者がカードローンを利用している事実はあるようですが、それが法的に問題ないかというと、そうともいえません。
その根拠が、生活保護法第60条と61条です。
ここでは「生活上の義務」と「届出の義務」について規定されており、第60条は「仕事に励み節約にも努めること」とありますので、そのような生活をしていれば借金はあり得ません。
第61条の届出の義務は、支出や収入に変動があった時には保護の実施機関や福祉事務所長に届け出することを定めています。
カードローン利用も、支出や収入に変化が出てきますので届出しなければなりませんが、素直に届出する人はいないでしょう。
つまり、カードローン利用は、生活保護法第60条及び61条に違反するという解釈なのです。
生活保護受給前には聞き取り調査があり、その中では現在の借金などについても聞かれます。
ローンカードやクレジットカードも当然その対象であり、正直に届け出るとケースワーカーがカードを預かるのが一般的です。
それを嫌って正直に申告しないと虚偽申告となり、最悪では生活保護の受給停止にもなりかねません。
●すでに借金があると生活保護は受けられない
借金返済のためカードローンを利用する人も少なくありません。
しかし、借金があると生活保護を受けることはできません。
生活保護費を借金返済に充てることも、生活保護法の趣旨に反します。
すでに借金がある場合には、受給前に自己破産などの債務整理をして清算しなければなりません。
■貸金業者も生活保護受給者に貸すことはできない
●貸金業法の縛り
一方で、貸金業者側も、法的には生活保護受給者にお金を貸すことはできません。
生活保護費や年金は、「公的給付」として位置づけられていますが、公的給付を担保にしてお金を貸す行為は、貸金業法第20条の2によって禁止されています。
●総量規制の縛り
また、総量規制の縛りも無視できません。
総量規制とは、年収の3分の1以上のお金を貸すことができない制度のこと。
仮に生活保護費を「年収」として考えないのであれば、生活保護費のみを頼りにしている人は実質無収入となります。
このような人にお金を貸すことは総量規制の観点からも違反となるのです。
●返済能力の判断
そして、審査を行なう際にはその人の返済能力を重視します。
生活保護受給者に返済能力が十分あるかといえば、ないと言った方が賢明で、貸金業者も融資は慎重にならざるを得ないのです。
■生活福祉資金制度でお金を借りる
それでもどうしてもお金を借りたいのであれば、「生活福祉資金制度」があります。
これは、定収入世帯に対して国が年1.5~3%の低金利、もしくはゼロ金利(連帯保証人がつく場合)でお金を貸してくれる制度です。
自由にお金を使えるわけではなく、利用目的に応じて限度額も決まっています。
しかし、全くないよりは確実に為になるようになっています。「限度額が少ない!」と思うのではなく、そういった制度は「ありがたい」と受け取ってください。
その人の状況に応じて利用できる・出来ないがあります。自分が利用できるのはどういった制度があるのか調べてみましょう。
公的制度詳細⇒【まとめ】様々なおまとめローン6選&検討すべき公的制度
■まとめ|生活保護受給者はカードローンではなく国の制度を
いかがでしたか?
生活保護をもらっていたり、収入や身分が安定しない人は、どうしてもお金の融資を受けにくい状況にあります。
しかし生活が苦しい人の為に国が様々な制度を設けてくれています。
自分が住んでいる市町村へ行って相談に行くもよし、ネットで調べてから申請するもよし、具体的な方法を知ってから質問しに行くのも良いでしょう。
生活保護の方はカードローンよりも国の制度の方が役に立つことが多いので、カードローンに固執せず様々な方法を探ってみてください。
いずれにせよ、正しい情報を収集して法的な問題をクリアしてお金を借りるようにしましょう。
国の制度を通して借りることも貰うこともできます。一度検討してみてはいかがでしょうか。