成年後見制度とカードローンの関係性とは

「成年後見制度」をご存知でしょうか?
簡単にいうと、精神上の障害を抱えている人に代わり、その人の財産などを保護する制度です。
今回は、成年後見制度について理解を深めるとともに、制度とカードローンとのかかわりについても解説していきます。

■成年後見制度とは?

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成年後見制度とは、精神障害や認知症、知的障害などによって正常な判断ができない人(被後見人)が不利にならないように、その人を援助する制度です。
認知症のお宅に悪質な訪問販売員がやってきて、高額な健康食品を買わされたなどということがありますが、クーリングオフ制度以外にも、後見人がその契約を認めなければ契約は無効となり、被後見人の利益を損ねないようにできます。
 

【成年後見制度の種類】

 
一口に成年後見制度と言っても、本人の判断能力などに応じて、いくつかの種類に分かれています。
 
・任意後見制度
任意後見制度とは、本人にまだ判断能力が十分に存在しているうちに、あらかじめ自ら任意後見人を決めることです。
将来判断能力が不十分になった際にも、任意後見契約で決めたことについて、任意後見人が本人に代わって行うことが可能となります。
 
・法定後見制度
法定後見制度とは、本人の判断能力が衰えた後に、後見人を決める制度です。
法定後見制度も、判断能力の具合によって3つに分かれます。
 
①補助
「大体のことは自分で決められるが難しいこととなると援助を必要とする」、と言った程度の判断能力です。
後見人(補助人)は家庭裁判所によって選定され、本人が行なった特定の行為ついての代理権、または民法13条1項の行為(借入や相続承認、相続放棄など)のうち、家庭裁判所で定める行為についての同意権(取消権)を有します。
「代理権」とは、本人に代わって契約などの行為を行なう権限のこと、「同意権」(取消権)とは、本人が行なった行為に対して同意することによって法的効果が認められる権利です。
なお、同意を得ないで行った場合には取消権によって取り消せます。
 
②保佐
「精神上の障害によって判断能力が著しく衰えている」、そのような人を保護する制度です。簡単なことであれば自分でできると言った判断能力です。
保佐人の場合、補助人よりも強い権限が与えられており、特に民法13条1項の好に関しては、全ての行為に関して同意権および取消権を有します。
 
③後見
成年後見制度と言って真っ先に思い浮かぶのは、「後見」です。
このレベルでは「精神上の障害によって、常に判断能力を欠いている」状態となっており、自分で判断して法律行為をとることはできません。
後見人は家庭裁判所によって選ばれ、財産に関する全ての法律行為に関する代理権を有しています。
ちなみに、後見にはあらゆる契約に関して代理権があるため、後見人によって締結された契約には公的効力があります。
よって、後見人には同意権や取消権はありません。

【成年後見制度のメリット】

成年後見制度を利用すれば、判断能力の衰えている人の財産を適切に管理して、さらに身上看護をすることも可能です。
また、成年後見制度には登記制度もあります。
後見制度の利用やその内容、権限について法務局に登記し、法務局が登記事項証明書を発行することで、後見人が円滑な契約行為を行うことができます。
後見には契約の取消権がありますので、万が一本人が詐欺被害に遭っても、それがクーリングオフの対象外だったとしても、契約を取り消すことが可能です。

【成年後見制度のデメリット】

成年後見制度の被後見人は、医師や弁護士、会社の取締役など一定の資格に就くことができず、これを「資格制限」と言います。
法務局では制度の迅速化を進めていますが、現状としては手続きに時間がかかり、スピーディーとはいえません。
 

■成年後見制度とカードローンとの関係

ここまで、成年後見制度についてざっと見てきました。
ここからは、成年後見制度とカードローンとの関係性について、実際に金融機関に問い合わせをして得た回答をもとに、説明をしていきましょう。
問い合わせに協力してくれたのは「住信SBIネット銀行」で、「MR.カードローン」はカードローン業界最低金利の年1.89~7.99%、限度額も1000万円まで設定可能です。
ちなみに、Mr.カードローンの商品概要説明書には、利用いただける方として、以下のような条件が設定されていました。
 
 
・ 申込時年齢が満20歳以上満65歳以下であること
・ 安定継続した収入のあること
・ 外国籍の場合、永住者であること
・ 保証会社の保証を受けられること
・ 当社の普通預金口座を保有していること(同時申込可)
 
 
条件を見る限り、成年後見制度については記述がありません。
 
 
Q:被後見人あるいは後見人がカードローンに申し込むことはできる?
A:「誠に恐れ入りますが、成年後見制度をご利用いただいている場合、当社カードローンはお申込みいただけません」
確かに、カードローンへの申し込みが被後見人の利益を守ることにつながるとは思えません。

Q:被後見人の障害の程度によって、カードローン利用の可否は変わる?
A:「成年後見人制度をご利用いただく前提でございましたら、一律お申込みいただけません。」
法定後見制度の種類が補助だろうと保佐だろうと、後見だろうと関係なく、一律申し込みはできません。

Q:成年後見制度利用前に被後見人がカードローンを利用して、その後成年後見制度利用をしたらカードローンはどうなる?
A:「返済のみの取り扱いとさせていただき、完済後はカードローン口座は解約となります。」
 
 
 
Q:成年後見制度を利用していることを隠したら、何らかのペナルティはある?
A:「成年後見制度をご利用いただいていることが判明次第、返済のみの取り扱いとさせていただき、 完済後はカードローン口座は解約となります。」
との回答です。
隠していたとしても特にペナルティは発生せず、返済専用となり完済後カードローン口座は解約となるスタンスは同じです。
 
 
Q:成年後見制度利用前に被後見人がカードローンを利用して、それが返済できなくなったらその請求はどうなる?
A:「約定返済日に引落しが出来ず、その後一定期間までにご返済いただけない場合には、 『期限の利益喪失』となり、借入元金と利息を一括請求させていただきます。
当社は保証会社より代位弁済を受けることになりますので、代位弁済後のご返済については、保証会社と直接ご相談いただくこととなります。」
との回答でした。
成年後見制度利用前の借金については、取り消しの対象とはならないようです。
新たな借入ができず返済専用となり、完済後解約となるのはある意味当然の対応ですね。
住信SBIネット銀行の保証会社はプロミスでおなじみの「SMBCコンシューマーファイナンス」であり、今後の返済は住信SBIネット銀行ではなくSMBCコンシューマーファイナンスに行っていくこととなります。
 
 
Q:被後見人が死亡したら、残った借金は後見人が支払うの?
A:「被相続人様の死亡により「期限の利益喪失」となり、債務額全額を一括請求させていただきます。
当社は保証会社より代位弁済を受けることになりますので、代位弁済後のご返済については、保証会社と直接ご相談いただくこととなります。」
との回答でした。
ただし、土地や株券などのプラスの財産とともに、借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。
後見人には相続権がなく(相続人が後見人となっている場合は除く)、相続人に財産の対応は任せることとなるでしょう。

Q:障害年金は収入として認められる?
A:「誠に恐れ入りますが、当社では認めておりません。」
成年後見制度利用前に本人が障害年金を受給していたとしても、そのお金は収入とは判断されないので、審査には通らない可能性が高いですね。
 

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