キャッシングでついつい借りすぎて、返済期限になってしまった。手元にお金がないから、他のところで借りよう…。
こんなことをしている方は、「多重債務」に要注意です。
多重債務とは、複数の金融機関からお金を借りること。
計画性のない借り入れが原因で陥ってしまうことが多いです。(⇒Q.おまとめローンをしたあとも借入は可能か?)
多重債務になると、利息が膨らむ一方で、なかなか元金が減りません。
借金は、収入の1/3が返済可能な額と言われていますので、借りすぎには注意しましょうね。(⇒借金返済が困難になった場合、おまとめローンと債務整理どっちがよいか)
■借金解決は自己破産だけではない
とはいっても、実際に多重債務に陥ってしまったら、どうすれば良いのでしょうか。
複数の借金を抱え、返済をすることができない人の多くは生活が困難となりどうしたらいいかわからないと悩みを抱えています。
こうした人たちは、解決をすることができないのではなく、解決方法を知らない場合が考えられます。
多重債務から抜け出す方法としては、以下の5つが挙げられます。
借金は、おまとめローンの他に債務整理と呼ばれる法的手続きで解決できます。
・おまとめローン
・任意整理
・個人再生
・自己破産
・特定調停
おまとめローンについては、他のコラムで触れていますので、今回は残り4つの方法(債務整理手続き)についてみていきましょう。
これらの方法を知っていると、返済金額を減らすことができたり、期間を短くすることができるので、今の苦しい状況を解決できます。
ただ、解決後また同じことを繰り返してしまうことがないように、心を入れ替える必要があります。
下記で、各債務整理のメリットやデメリットを紹介します。
任意整理
任意整理とは、債権者と返済方法や返済額について交渉を行い、和解を成立させる手続きです。
専門家である司法書士に申し立てをすることで取り立てを中止してもらうのです。
もし、違法的業者だった場合過払い金請求をすることができるので、今までの返済履歴から戻ってくるお金があるかもしれません。
任意整理をする時には必ず司法書士へ依頼をする必要があり、信用情報機関に自分の名前が残ってしまうので、今後借り入れをする予定がある場合審査落ち確率が高くなります。
和解内容としては、利息なし、元本を3年程度の分割にすることが多いです。和解後は、取り決めの内容に従って返済していきます。
すべての債務整理の手続きの中で、最もよく利用されるのが、この任意整理の手続きです。
メリット
・未払いの金利、将来の金利、遅延損害金がカットされるので、通常より早く完済できます。
・利息制限法の上限金利(15~20%)で計算されることで、返すべき借金の額が減ります。取引期間が長い場合には、過払い金が差し引かれたり、手元に戻ってくることもあります。
・財産の処分や資格制限(特定の職種につけなくなること)がありません。
※保険の代理店、警備員、士業など
デメリット
・個人と業者の話し合いになるため、業者によっては任意整理手続きに応じてくれないことがあります。
・ブラックリストに載るため、今後約5年程度借り入れができなくなります。
・借金がなくなるわけではないので、支払いは続きます。
個人再生
裁判所に申し立てた上で、借金を1/5程度に減額してもらう制度です。借金の額が確定すると、3年から5年かけて分割払いをしていくことになります。
この方法は、借金解決をする為に裁判所への申し立てを行います。
裁判所によっては、司法書士を選任しなければいけない場合があり、必要な書類を提出のも義務となっています。
もし、再生計画通りに返済をしなかった場合、自己破産へと道しかなくなってしまいます。
メリット
・債務を5分の1(借金が3000万円以上の場合は10分の1)まで減らすことが可能。
・持ち家や車などの財産は処分されません。
・手続きが始まると、債権者は給料や家を差し押さえることができなくなります。
デメリット
・ブラックリストに載るため、今後約5~10年程度借り入れができなくなります。
・個人で申し立てることは難しく、弁護士や司法書士に頼むため、費用が高額になります。
・返済を継続できる収入がないと手続きが認められません。
・官報(国が発行する機関紙)に住所や氏名が載り、全国に公開されてしまいます。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てをし、全ての借金をゼロにする手続きです。
具体的には、破産申立書を提出して免責許可をもらう必要があります。
ただし破産ができる場合が限られており、支払い不能になったことが必要です。支払い不能かどうかは、借金の額や、現在の収入、資産等の状況から判断されます。
自己破産の場合、信用情報や官法に名前が載ってしまうので、次にキャッシングを利用することはかなり困難となります。
更に、資産が一定以上ある場合には手放さなければいけないなどの条件があります。
メリット
・借金をすべて支払う必要がなくなります。
・みぐるみはがされるというわけではなく、生活に必要な財産は手元に残ります。
・手続きが始まると、債権者は給料や家を差し押さえることができなくなります。
デメリット
・ブラックリストに載るため、今後約5~10年程度借り入れができなくなります
・資格制限(特定の職種につけなくなること)があります。
・官報(国が発行する機関紙)に住所や氏名が載り、全国に公開されてしまいます。
免責決定を受けるまで、警備員や士業など一部就けない職業があります。
特定調停
特定調停とは、債権者と話し合いをして借金を減額してもらい、3年程度かけて返済していくことです。話し合いに際しては、簡易裁判所が仲裁してくれます。
メリット
・利息制限法の上限金利(15~20%)で計算されることで、返すべき借金の額が減ります。
・持ち家や車などの財産は処分されません。
・財産の処分や資格制限(特定の職種につけなくなること)がありません。
デメリット
・裁判所が関与するため、任意整理に比べて手続きが難しく、時間がかかります。
・調停が成立した場合、特定調書によって強制執行を受けやすくなります。
・調停制度はただの話し合いなので、過払い金は返ってきません。別途返還請求を申し立てる必要があります。
このように、借金返済で生活ができずに困っている場合には自己破産以外にも方法があるので、検討してみましょう。
■全員が自己破産できるわけではない
最終的には自己破産をすれば大丈夫と安易に考えている人もいます。
自己破産は、全ての人はできるわけではありません。
逆に言えば、できない人もいるのです。
例えば、ギャンブルでの借金や趣味で作った借金の場合は自己破産をすることができません。
この場合、免責不許可事由と判断され申し立てをしたとしても認められることが少ないです。
ですので、借金が多くなりどうすることもできなくなったからと言って自己破産へ逃げるということはできないのです。
きちんとした理由がない限り、支払い義務は負うことになりますので、借金をした責任を真摯に受け止めるようにしましょう。
■自己破産前に今の状況を把握しよう
多重債務を抱えている人の場合、今どのくらいの借金があるのか把握しきれていないことが多いです。
ですので、債務一覧表を作成しどの業者からいくら借り入れしているのかを一覧で出すようにしましょう。
この時、いつから借り入れをしたのか、返済期間がいつまでなのかを記入しておくことで業者との相違をなくすことができ、話をスムーズに進めることができます。
もし、情報が全くない時には個人信用情報機関に問い合わせをすることで教えてくれます。
基本的には最長で7年は取引状況が登録されていますので、曖昧な記憶をたどるよりも正しい情報を知ることができます。
周りや家族に知られたくないからと言って、借金を隠しても解決にはなりません。
全部吐き出すことで、どの債務整理が自分に合っているのかを見つけることができます。
隠すことで、せっかく苦労をして行う債務整理が無駄な作業となってしまいますので、こういったことにならないように情報は隠さずに出すようにしましょう。
■債務整理を弁護士に頼むとどのくらい
債務整理には様々な方法がありますが、自分でやると大変ですよね。
そこで、弁護士に頼んだ場合の相場を見てみましょう。
相談料:30分5000円
着手金:債権者1件あたり2~3万円
※債務整理を専門にやっている事務所だと、相談料、着手金は無料のところが多いです。
基本報酬:貸金業者1件あたり2万円
成功報酬:減額できた額の20%
他に、交通費や手数料がかかる場合がありますので、事前に確認しましょう。